【ブロックチェーンスタートアップ】世界初のP2Pワイヤレスネットワーク「Helium」
日本でも盛り上がりを見せているブロックチェーン業界。世界にはブロックチェーン技術を利用した様々なスタートアップ企業が誕生しています。
今回は、ブロックチェーン技術で世界初のP2Pワイヤレスネットワーク構築を目指すスタートアップ企業「Helium」について書いていきます。
Helium
- 創業:2013年
- ファウンダー:Shawn Fanning 、Amir Haleem、Chris Bruce、Sean Carey
- 調達額:1億6,480万ドル(約187億5,000万円)
- ビジネス:分散型ワイヤレスネットワークの構築
- 時価総額:約3,350億円
暗号通貨のマイニングで無線LANを提供するHelium
Heliumは世界初の分散型5Gネットワークです。
2019年6月に、「世界初」(同社)となる、独自の暗号通貨「HNT(ヘリウムトークン)」マイニングデバイスである「Helium Hotspot」を発売。通信キャリアが、インフラを構築を担うのではなく、ネットワーク構築に参加する個人がルーターを購入し自らが基地局(ホットスポット)になります。
低電力の無線デバイスが相互に通信し、街全体がWifiで覆われるイメージです。個人と個人とがつながることで全体がつながる「People’s Network」です。
Heliumの独自技術「LongFi」は、低消費電力及び長距離通信が得意な「LoRaWAN」という通信規格に、ブロックチェーンの仕組みを組み合わせたものです。省電力で広域をカバーできるため、IoT用途での利用に適しています。通信距離はWifiの200倍で、50〜100基でひとつの都市全体をカバーでき、速く安くインフラを敷設できます。
ホットスポットには、通信カバレッジの提供(Proof of Coverage)と通信したデータ量に応じて、報酬として独自トークン「HNT」が与えられます。
自分自身がホットスポットになることで・・・
自分自身が、ホットスポットになることで、電気代が月300円として、HNT価格でおよそ月3万円ほど稼げます。周辺300メートル圏内には他の端末を設置できない、早いもの勝ちの取り合いが起きています。
Heliumではこの設備投資負担をユーザー間で分担することで軽減し、通信することで「料金を支払う」から「報酬を受取る」への逆転現象を実現しました。
破竹の勢い
2019年7月にローンチされたHeliumですが、ホットスポットはたった2年で世界144カ国25万カ所にまで広がり、全世界を覆い尽くすネットワークの構築に向け邁進中です。
HeliumのネットワークはIoTのデータ通信に適しており、セルラーネットワークと比べて圧倒的に安く提供できます。Heliumはこれを武器に「あらゆるものがインターネットにつながる」世界の実現を目指しています。
Heliumでは、全ホットスポットで誰が、いつ、いくらのHNTを受け取ったか、そして自分がどの端末とどう繋がって報酬がもらえたのかなど、あらゆる情報がオープンになり、すべてブロックチェーン上に書き込まれます。そのため、虚偽の報告はネットワーク参加者によって監視され、サーバーハッキングに備えたコストなどもかかりません。
創業者も筋金入りで、「ナップスター」(Napster)の共同創業者ショーン・ファニング(Shawn Fanning)とプロゲーマーで開発者のアミア・ハリーム(Amir Haleem)のコンビです。
これからのHeliumの破竹の勢いは止まることは当分ないのではないでしょうか?